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【tanuki journal】No.30 “現地取材” 自らリノベーションして住まう—。古き良きものとの心地よい暮らし。

2026.09.22

北欧家具tanukiにて取り扱う北欧ヴィンテージ家具・雑貨たち。今から50~70年前に作られた作品達は今もなお現代の生活を彩り豊かさや温かみを与えてくれます。当店で出会いを果たした家具・雑貨たちが暮らしの中でどのように取り入れられているか、お客様宅を訪問・取材し心地よい暮らしのヒントを探る【tanuki journal】。

第三十弾はスウェーデン南部に暮らすPさん夫妻宅を訪ねました。セカンドハンドショップのオーナーであるPさんが住まうのは、築約50年のレトロな一軒家。数年前にこの家と出会い、自らの手で少しずつリノベーションを施しながら大切に暮らしています。室内には、名作デザイナーズ家具から個性豊かなアートまで、様々なインテリアが見事に調和。「現代的なスウェーデンの暮らしとは一味違うけれど、私たちにとっては一番心地いい空間なんです」と笑顔で話してくれました。世界の幸福度ランキングでも常に上位に入るスウェーデン。そんな現地での取材を通して、自分らしく豊かな暮らしを楽しむためのヒントを探りました。


まずはダイニングエリアから。広々とした空間に様々なテイストの家具やアート、観葉植物をミックスさせて空間に仕上がっています。

ハンス・J・ウェグナーデザインの「AP16」(チーク材仕様)。革や内部のクッションも、製造当時のまま大切に使われているそうです。
ハンス・J・ウェグナーのベッド。

ダイニングセットには、ボーエ・モーエンセンの木製チェアからスチールフレームのものまで、あえて異なるテイストをミックスして使用しています。

ボーエ・モーエンセンの「BM1」チェア。
オーケ・アクセルソンの「Vaxholmaren」チェア。

デンマークの住まいと同様に、窓際にも植物やアートが飾られていました。

キース・へリングのレゴアート。
ハンス・アルネ・ヤコブセンのランプ。
どこか惹きつけられる抽象的なオブジェ。
ブルーノ・マットソンの「エヴァ」。
デザイナー不明ながら造りのよいアームチェア。
グンナー・ニールンドのベース。

続いてリビングエリアへ。こちらもゆとりのある空間に、ヴィンテージのソファやサイドボード、テーブルなどがコーディネートされています。

デビッド・ローゼンのサイドボード「Napoli」。
イェンス・クイストゴーのトレイテーブル。
カール・マルムステンのソファ。
オリジナルのガラス窓の意匠がかわいい。
ハンス・アルネ・ヤコブセンのランプ「Estrella」。
重厚感のあるテーブルとチェアは、スウェーデン現地の裁判所で使われていたものなのだそう。「分厚い石の板が嵌め込まれていて、相当重いんだよ」とPさん。

窓際には観葉植物。「育てるのを楽しみにしている」とPさん。

カッレ・ベルグルンドのヘラジカのオブジェ。
ルイスポールセンの「スノーボール」。
スティグ・リンドベリのベース。
ブルーノ・マットソンの「エヴァ」。
エリック・ホグランのパインボウル。

建築当時のオリジナルのレトロなガラスをそのまま使用。

ゲスト用のエントランスエリアは、心地よい観葉植物コーナーとして活用されていました。

アルフ・スヴェンソンの「TeVe」。

水気に強いタイルトップテーブルは水差し置き場として最適です。

自然光がたっぷりと差し込むサンルームは、室内よりも暖かく、さまざまな植物を育てる絶好の場所に。床も屋根のフレームもすべて無垢のチーク材で仕上げられた、なんとも贅沢なつくりです。

今年のヨーロッパを襲った記録的な熱波。聞けばスウェーデンも例外ではなく、かなり暑い夏だったそうです。
それでも「エアコンは設置していない」というPさん。理由を尋ねてみると、「だって、室外機から出る熱で外がもっと暑くなってしまうだろ?」との返答が。手軽な便利さに頼る前に、地球環境や周囲への影響を当たり前に考えるその姿勢に、自身の無意識な環境意識の低さを突きつけられたようで、なんだか身につまされる思いでした。

Pさんの書斎には、オークションで手に入れたという可愛らしい「こけし」がディスプレイされていました。

築年数の経った一軒家では、現代的なシステムキッチンに入れ替えてしまうことも多いそうですが、Pさんご夫妻はこのレトロな雰囲気が気に入り、あえて当時のまま残して使い続けています。「なるべくオリジナルの雰囲気を残して使い続けたいんだ」と語るPさん。この寸法に合わせて作られた当時のオーブンなどは使用できないが、「それはもうしょうがないよね」と大らかに受け入れています。

扉にはチーク材を使用している。

キッチンの床は本来、この上に仕上げ材を張るための下地部材がむき出しになっていますが、この無骨な雰囲気が好きでそのままにしているとのこと。「他の部屋のフロアタイルも剥がしたいんだけど、なかなか時間がなくてね!」と苦笑いされていました。

二階へ進むとソファセットに加え、リラックスタイムに重宝するアイテムがコーディネートされていました。

ハンス・J・ウェグナーの「PP225 フラッグハリヤードチェア」。
アルネ・ヤコブセンの「スワンチェア」。

冬になり木の葉が落ちると、窓の向こうに美しい湖が見えるそうです。

「さあ、FIKAにしましょう」とごちそうしていただいたお昼ごはん。心温まる温かいおもてなしに感謝の気持ちでいっぱいになりました。

以前は都市部のアパートに暮らし、毎日駐車スペースを探すだけで15分もかかっていたというPさん。数年前にこの家へ移り住んでからは、建築当時からのチーク材で作られたガレージのシャッターや玄関扉の少しずつ研磨して再仕上げするなど、自らの手でリノベーションを重ねています。お店の仕事に追われ「なかなか作業の時間が作れない」と笑うPさんですが、忙しくもどこか楽しそうに家と向き合う姿がとても印象的でした。便利さや効率が求められる現代において、古き良きものを大切に受け継ぎ、手をかけながら自分たちの「心地よさ」へと昇華させていく暮らし。その暮らしにヴィンテージ家具はまさに寄り添うのではないでしょうか。そこには現代社会にこそ求められる「自分らしく豊かな暮らし」が詰まっているように感じます。Pさん、素敵なお時間ありがとうございました。

 

北欧家具tanuki 北島