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【tanuki journal】No.18「ぬくもりと暮らす」北欧ヴィンテージ家具が彩る心地よい生活空間

2025.08.02

北欧家具tanukiにて取り扱う北欧ヴィンテージ家具・雑貨達。今から50~70年前に作られた作品達は今もなお現代の生活を彩り豊かさや温かみを与えてくれます。当店で出会いを果たした家具・雑貨達が暮らしの中でどのように取り入れられているか、お客様宅を訪問・取材し心地よい暮らしのヒントを探る【tanuki journal】。

第十八弾はMさん宅を訪ねました。これまでにもダイニングテーブルやサイドボードの搬入で何度かお伺いしているMさん宅。今回は、ハンス・J・ウェグナーを中心に北欧ヴィンテージでコーディネートされた素敵な空間を改めて見せていただきました。北欧ヴィンテージとの出会いから、実際に使ってみて感じたことまで、暮らしの中でのリアルな声を伺いました。


-北欧ヴィンテージはどのように知りましたか?

Mさん:学生時代に熊本県の大学に通っていて、その時によく通っていた古民家を改装したお洋服屋さんで使っていた古い家具がとても雰囲気がよく素敵だなと思っていました。働き始めて福岡県に移った後、いろいろなお店を巡る中で目に付くのは古くて雰囲気のある北欧ヴィンテージだなと、その時に自分の好みを認識しました。最初に購入した北欧ヴィンテージはキッチンペーパーホルダーで今でも使用しています。たしかTRAMさんだったと思います。20代の頃は毎年引っ越しをするような生活だったので家具は買えませんでしたが、現在の住居に引っ越して落ち着いたのを機に家具を買い集めました。

最初に購入したキッチンペーパーホルダーは現役で使用中。

-北欧ヴィンテージに惹かれたポイントはどこですか?

Mさん:木の質感やぬくもり、有機的な感じが好きなのかなと思います。こういう木のカーブや質感はいつ見ても飽きずに眺めていられます。音楽もアコースティックなものが好みですし、無機質なものよりはぬくもりのあるものを選ぶ傾向にあるのだと思います。

グンニ・オマーンのサイドボード。脚や取っ手のデザインが有機的で美しい。びっしり書籍を収納しているが扉の開け閉めはスムーズ。

Louis Poulsen PH 2/1 Table 琥珀色ガラス仕様。
ごちそうさまでした。

Mさん:北欧家具のいいところは、日本の風土に合っていることだと思っていて、物を選ばずとも自然に馴染むような気がします。民芸物も好きでお皿を使ったりしますが、やっぱりそれも北欧家具と相性がよくしっくりくる気がします。

ハンス・J・ウェグナーのGE290とGETAMA社製コーヒーテーブル。当店で張替もさせていただきました。
ハンス・J・ウェグナーのGE240オットマン。

-北欧ヴィンテージ家具を実際に使われてみていかがですか?

Mさん:普通のマンションですが、置いてあるだけでもお部屋の雰囲気が変わるので本当にありがたいなと思っています。これまでどなたかがデンマーク現地で使ってきたものなので、これまでの歴史への敬意といったら言い過ぎかもしれませんが、大事に使いたくなる感じはあります。忙しい時に手荒に使ってしまいがちな場面でも、自分を正してくれる感じがします。

ニールス・クラウセンの2段チェスト。

ハンス・J・ウェグナーのCH78 Mama Bear Chairは読書スペースに。

-北欧ヴィンテージを使う際に気になる点はありますか?

Mさん:サイドボードの扉なども調整をしてくれているのだと思いますが開け閉めもスムーズですし実用面も気になりません。あるとするとソファのスプリングの感じがアンティークという印象ですが、むしろアンティークやヴィンテージである方が心地よく雰囲気や味わいがあるので気に入っています。

-オイルでのメンテナンスはされますか?

Mさん:ちゃんとオイルを塗るのは年に数回程度です。普段はさっ拭いたりするくらいです。ダイニングテーブルを使うときはトレイやマットを敷いて使用しています。直接置く場合もありますが、その場合はさっと底を拭いたりしています。習慣になっているので、特にわずらわしさは感じていません。気をつけているつもりでも日常的に使っているとどうしても時々うっかりシミになりそうなことや傷になることをやってしまうこともあります。そのような時はすぐに拭いて乾かしてオイルでメンテナンスすれば(これは夫がやってくれるので私は偉そうなことは言えませんが・・)かなり目立たなくなりますし、少しくらいの傷や跡も味のうちかと思います。そしていざとなればお店に相談できる心強さがあります。何より良いもの、気に入ったものを手入れをしながら長く使う喜びには代えられないものがあります

ハンス・J・ウェグナーのAT312とCH-29のダイニングセットはそれぞれチーク材仕様。CH-29は買付依頼をいただき、デンマーク現地でお探しいたしました。
ご購入から5年ほど経過しているがきれいな状態。
デンマーク現地でもダイニングセットの下にラグを敷くお宅をよく目にします。
スリットから漏れる光が美しいランプ。

-植物もたくさんあって素敵です。北欧家具との相性もよいですね。

Mさん:植物は手入れがいろいろ難しいことも多く勉強しないといけないのですが(笑)、色味は本当に相性がよいと思っています。

ベランダからはイチョウが見え秋になると紅葉を楽しめるそう。

今回Mさんのご自宅を訪問し、北欧ヴィンテージ家具に囲まれた温もりある心地の良い空間を拝見しました。木の豊かな質感、有機的な曲線、そして日本の風土にもしっくりと馴染む普遍的なデザイン。これらが北欧ヴィンテージの尽きない魅力であることは言うまでもありませんが、 特に印象的だったのは、「手荒に使いそうになる時、自分を正してくれる」というMさんの言葉。それは、家具が単なる機能を持つ道具ではなく、自身を律し日々の振る舞いにまで影響を与える深い存在であることを示唆していました。ヴィンテージ家具だからこそ生まれる人との関係性は、より豊かで丁寧な生活に貢献しうるということを改めて教えてくれる貴重な機会となりました。この度は取材へのご協力ありがとうございました。今後とも引き続きよろしくお願い致します。

 

北欧家具tanuki 北島