【tanuki journal】No.26 好きなものを重ねていく暮らし─。北欧ヴィンテージがもたらす空間と心の豊かさ。
2026.02.27
北欧家具tanukiにて取り扱う北欧ヴィンテージ家具・雑貨達。今から50~70年前に作られた作品達は今もなお現代の生活を彩り豊かさや温かみを与えてくれます。当店で出会いを果たした家具・雑貨達が暮らしの中でどのように取り入れられているか、お客様宅を訪問・取材し心地よい暮らしのヒントを探る【tanuki journal】。

第二十六弾は、〈株式会社良品計画〉イデーでバイヤーを務め、国内外のデザインに深い造詣をもつ成田さんのご自宅を訪ねました。20代の頃に迎えたYチェアをきっかけに、さまざまな北欧デザインやアート、雑貨と20年以上生活を共にしてきた成田さん。長年にわたって多様な家具やプロダクトに触れてきた成田さんが、北欧ヴィンテージに心惹かれる理由とは何なのか──。北欧デザインの魅力や空間に心地よさをもたらすアートや雑貨のミックスの仕方、ディスプレイの楽しみ方まで、いろいろお話を伺いました。
-北欧ヴィンテージはどのように知りましたか?
成田さん:学生の頃にデザインの勉強をしている中であったり、いろいろなショップを巡ったりしている中で北欧のデザインを知って、ずっと興味は持っていました。どこで買ったかはもう覚えていないのですが、このリサ・ラーソンの鳩を買ってから、リサのヴィンテージの世界を知り、いろいろ見ていくとヴィンテージの家具を知りと、世界がどんどん広がっていくような、そんなスタートだったと思います。家具としては24歳か25歳の頃に購入したこのYチェアが最初でした。



成田さん:当時はあまり知識がなく、たくさんの椅子を知らないというものあったと思います。その中でハンス・J・ウェグナーのYチェアを知り、とにかくダイニングテーブルにYチェアを4脚揃えたいと思っていました。当時は小さい部屋の一人暮らしでしたが笑。










成田さん:実際に座ってみてこの座りやすさだったり、アームの使いやすさ、ディテールの美しさ、曲線美など、みんなが思う通りなのですが、当たり前にそういう魅力は感じました。ダイニングテーブルに4脚ピッと収まった時の美しさも当時から感じています。今は、4脚異なるものを置いてみたいという気持ちもありますが、元気で頑張ってくれているので20年以上使い続けています。











-北欧ヴィンテージ家具を実際に使ってみていかがですか?
成田さん:すごくいいと思います。大切に使いたいと思いますし、なんというかディテールが上品なんですよね。例えばカイ・クリスチャンセンのウォールシェルフのこの前面に微妙な角度が付いていたり、曲線の美しさだったり、仕上げ方だったり、こういったところが美しいですよね。普通は直線的に簡単に仕上げてもいいところもデザインにこだわっているから、すごい上品というか上質というか、そういうところは感じます。大げさでも目立つわけでもないのだけれど、これがあることによって雰囲気が全く異なるものになってくる。そのあたりのレベルが高いと思います。




















成田さん:このボーエ・モーエンセンのサイドテーブルも天板を一枚の板でもいいようなところでも、それぞれの辺に違う杢目の材を充てて作っている。些細なことなんですが、こういうデザインが普通にできている。これが標準という当時の家具はやっぱりすごいなと思います。ただ、機能的にテーブルが欲しい、という考え方とは違う感じがしますね。


-お気に入りの家具はありますか?
成田さん:お気に入りというか、なかなか見つけられないと思うものだと、tanukiさんで購入したこのサイドボードは当時相当探していました。冷蔵庫と壁までの間に入って、天板にコーヒーメーカーなどを置きたいので高さも重要、奥行きも限られるということでサイズが一番のポイントでした。まさにドンピシャなサイドボードで、なかなか見つからないと思うので、本当に見つかってよかったと思っています。


成田さん:壁に掛けてあるアルヴァ・アアルトのウォールシェルフも、互い違いに取り付けて余白にアートを飾るというこれもやりたかったことが実現できていて気に入っています。余白にアートを飾ることで、ちょっと豊かな空間になると思います。









成田さん:このカイ・クリスチャンセンのウォールシェルフは、僕も北欧に買付で行ったときに絶対に見つけられず国内でよく当時買えたなという一品だと思っていて、一列だけのユニットはよく見ますが、この四隅の収納がセットですべて揃っているのはかなり希少かと思います。しかも設置したいと思っていたところにジャストフィットして、これはかなり奇跡的でした。

成田さん:ホグランのシャンデリアは海外オークションで購入しました。もちろん物自体も高かったのですが、折り畳めないから大きな箱に入ってきて送料もすごくて。でも買ってよかったです。





-インテリアや雑貨を取り入れる際に意識していることはありますか?
成田さん:現代の作家とかアート、ヴィンテージとか北欧など本当にいろいろミックスしていて、値段ももちろん高いものありますが、すごい安いものもいっぱいあります。例えばドイツの教材らしいのですが、パリの蚤の市で数百円で買ったものを額装してみたり、作家さんとやりとりしているときに封筒にちょっとした絵をかいてくれた時のものを飾ってみたりしていて、本当に自分がいいと思ったものを高い安い関係なく飾っている感じです。





成田さん:アフリカンアートでは、素材感のあるものだったり、デフォルメされているものだったりそういったものを選んでいます。空間全体に深みを与えてくれていると思いますし、ちょっと雰囲気が異なるものがあると空間を引き締めてくれる。こういったものを取り入れる意義は感じます。




-メンテナンスはしていますか?
成田さん:ありがたいことに社内に詳しい人がいっぱいいるので、これいいよっておすすめしてもらったワックスを使用しています。ヴィンテージ系はやっぱり輪染みができてしまうので、コースターやトレーはほぼ必ず使っていますね。





成田さん:最近はあまり変えられていないのですが、結構ディスプレイを変えるのが好きで、そういうときはだいたい掃除をセットなんです。そうするとディスプレイが変わってフレッシュな感じもするし楽しみながら掃除ができて一石二鳥です。いまだに完成形が見つけられないのでいろいろ本当に試していますね。それが楽しかったりするんですがね笑
成田さん宅の空間では、北欧ヴィンテージの魅力である“控えめな上品さ”が、日々の風景をそっと豊かにしているように感じました。柔らかな曲線や丁寧に施された仕上げ、造形美といった細部の美しさが、暮らしに自然な品と深みをもたらしていることを改めて感じます。そして何より印象的だったのは、北欧デザインに限らず、現代アートやアフリカのオブジェ、手紙の一部までも──自分が「いい」と思うものを自由に組み合わせる成田さんのスタイルとセンス。完成形を求めすぎず、飾りながら、変えながら、楽しみながら。北欧ヴィンテージにその感性や姿勢が加わることで、空間を整えるだけでなく、住む人の内側まで豊かにしていく力を持っているように思えました。この度はすてきな時間とお話をありがとうございました。
北欧家具tanuki 北島