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ハンス・J・ウェグナーの傑作「RY20」サイドボードの魅力。

2025.08.24

当店で取り扱う北欧ヴィンテージ家具。その中でも時代を超えて愛される傑作が、デンマークの巨匠ハンス・J・ウェグナーの「RY20」サイドボードです。1953年にハンス・J・ウェグナーによってデザインされ、Ry Møbler社で製造されたこのキャビネットは、シンプルながらも随所にこだわりを感じる造形と収納力抜群の機能性を兼ね備え、今なお世界中の愛好家から高い評価を受けている作品です。当店でもこれまで何台ものRY20を買い付けてご紹介しておりますし、いつかは欲しいと思っている方も多いのではないでしょうか。今回はそんなRY20の魅力を4つのおすすめポイントに分けてご紹介します。


RY20をデザインしたハンス・J・ウェグナーとは?

ハンス・J・ウェグナー(Hans J Wegner)は1914年デンマークのトゥナーで靴職人の息子として生まれます。13歳の頃から家具職人H.F.スタルバーグの元で家具の修行を始め、17歳で家具職人の資格を取得しました。その後、コペンハーゲン美術工芸学校に入学し家具設計を専攻、卒業する1938年まで多くを学びました。卒業後、デンマークの建築家であるアルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen)の事務所に勤務。ヤコブセンが設計したことで有名なオーフス市の市庁舎の設計にも携わり、議会の椅子や婚姻届を受け付ける部屋に置かれるチェアなど、そこに納める家具のデザインも行いました。1943年に独立し自身のデザイン事務所を開設。彼の代表作となるチャイナチェアシリーズの最初となる椅子はこの頃デザインされました。
ハンス・J・ウェグナーは、その後も数多く名作を残し、1951年にルニング賞を受賞、1997年に第8回国際デザイン賞を受賞するなど、数々の実績を残します。他にもデンマーク王立芸術アカデミーの名誉会員や英国王立美術大学から名誉学士号がハンス・J・ウェグナーに贈られています。1995年にはウェグナー美術館がウェグナーの生まれ故郷であるトゥナーに開館します。
生涯500脚以上の椅子をデザインしたと言われるハンス・J・ウェグナー。彼のデザインした作品は当時のデンマーク社会、住環境、経済状況などを反映し時代に即したデザインであると同時に、半世紀以上たってもなお古さを感じない普遍的なデザインが魅力であると言えます。

 

RY20の魅力とは?

ハンス・J・ウェグナーのRY20の魅力は下記にまとめられます。

①シンプルで美しくサイズの割に圧迫感のないデザイン

②高い収納力と飾る楽しさ

③さまざまなヴァリエーションがある

④資産価値

詳しく見ていきましょう。

 

①シンプルで美しくサイズの割に圧迫感のないデザイン

RY20は幅180cm高さ180cmという大型サイズながら、驚くほど空間に馴染みます。その理由は、上段の奥行きが浅く設計されていることと、全体のフォルムが極めてミニマルであること。加えて、上下段の間が抜けていることと、上下段を支える左右の側板にも空間を持たせることによってさらに軽やかな印象に仕上がっています。この部分が板だったら、印象もかなり異なるはずです。また、上段の把手は丸く掻き込まれ、下段は最小限のつまみ程度のデザインもミニマルでどんな空間にも馴染むデザインに仕上がっています。無駄を削ぎ落としたラインと、チーク材やオーク材の温もりが調和し、視覚的な軽やかさを生み出しています。大型ながらこれぞ北欧家具らしい「静かな存在感」が、インテリアに品格を添えて、多くの方が憧れる存在になっています。

下段に対して奥行きの浅い上段に加え、側板中央が抜けているのため圧迫感が少ない。
杢目の美しさも楽しめる。
引き出し6杯と収納力抜群。

余談ですが、こちらのRY20は側板と上下段を分解することができるので、マンションや狭いお部屋でも搬入できます。当店ではご希望の場合は分解した状態で発送やお届けが可能です。※さらに余談ですが、普段は見えない側板の裏側にRy Møbler社の刻印が入っていることがあります。分解した時にしか見られないのでもし機会があれば探してみてください。

1955年製の刻印。側板の裏側にもこの刻印が入っている場合がある。
側板の脚は一本の無垢材を使用して、強度を保ちながらデザイン的に良いアクセントとなっている。

②高い収納力と飾る楽しさ

美しいデザインに加え、もちろん収納力といった実用性も申し分ありません。下段は引き出し6杯、上段は食器や小物類の収納に重宝する引き戸仕様となっており、下段の天板をはじめ上段の扉を開けっ放しにすれば、収納しながらディスプレイも楽しめる、そんなデザインになっています。ちなみに設計当時の構想がなにかあったのか、上段の右側の引き出しのみ底板にフェルトを敷いている仕様が良く見られます。当時はカトラリーを収納する前提でこのような仕様になっていたと思われます。

上段の棚板は左右で5枚がオリジナル仕様。
細かく高さを調整できるのも実用的。
下段天板にはいろいろな小物をディスプレイできます。
こちらの引き出しのみフェルトが張ってあるのがオリジナル仕様。

③さまざまなヴァリエーションがある

ハンス・J・ウェグナーのRY20は実はいろいろなヴァリエーションがあります。材はチーク材かオーク材、上段の扉は木材のタイプか籐タイプ、下段の把手は平たいものか丸いものなどが存在しています。通常よく見つかるタイプはチーク材、平たい把手、上段木材仕様です。

④資産価値

ハンス・J・ウェグナーのRY20は世界的にヴィンテージ市場で高い評価を受けており、デンマーク現地でもすぐに買い手が付くなど市場に出回ると争奪戦になります。状態の良い個体は年々希少性を増しており、近年の価格の高騰は顕著です。ウェグナー作品の中でも大型で存在感があり、かつ実用性も高いため、インテリアとしてだけでなく資産価値のあるコレクションとしても注目されています。長く使い続けることで、生活に寄り添いながらさらに資産価値が高まるのも魅力のひとつです。


ハンス・J・ウェグナーのRY20サイドボードは、北欧ヴィンテージ家具の魅力を凝縮した傑作のひとつです。シンプルで美しいデザイン、高い収納力、豊富なヴァリエーション、そして資産価値——どの角度から見ても、所有する喜びを感じられる逸品です。北欧家具を愛するすべての人に、ぜひ一度その魅力を体感していただきたい一台です。当店では2025年9月にRY20が一台入荷いたします。お探しの方はお問い合わせくださいませ。

サイドボード/ハンス・J・ウェグナー/RY20【2508-0329】

 

北欧家具tanuki 北島