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北欧ヴィンテージ家具の魅力とは?購入時の注意点も解説。

2024.11.08

当店で長年扱うデンマークやスウェーデンを中心とした北欧ヴィンテージ家具たち。2000年後半から起こった北欧ブームにより日本でも人気は広がり、現在も人気は定着し人々の生活に広く浸透しています。近年では円安や現地価格の高騰により国内価格も上がる一方ですが、価格以上の価値のある魅力ある家具達です。そんな北欧ヴィンテージ家具の魅力や購入時に気を付けたい注意したいポイントをまとめました。

北欧ヴィンテージ家具の魅力とは?

北欧ヴィンテージ家具の魅力は以下の4つです。

①50~70年前にデザインされたとは思えない普遍的デザイン
②貴重な材が使用されている
③経年変化の雰囲気
④現代では生産されていない廃盤品も手に入る

それではそれぞれのポイントを細かく見ていきましょう。

①50~70年前にデザインされたとは思えない普遍的デザイン

北欧ヴィンテージ家具は広義的にはデンマーク・スウェーデン・フィンランドなどの戦前戦後にデザイン・製造されたものが中心ですが、ここではデンマークのヴィンテージ家具を中心に解説していきます。

そのデンマークの北欧ヴィンテージ家具達は1950~70年代のデンマークデザインの黄金期といわれた時代にデザイン・製造されたものが中心ですが、そのデザインは今見ても全く古さを感じず現代の生活空間にもすっと馴染むデザインです。ハンス・J・ウェグナーのGE290やYチェア、ボーエ・モーエンセンのJ39、アルネ・ヤコブセンのセブンチェアなどの多くの名作家具達はこの黄金期にデザインされましたが、今もなお生産されて売れ続けていることからもその世界的な人気の高さがうかがえます。

なぜ、そのような普遍的デザインが生まれたのか。デンマークデザインの根底のにある考え方として【リデザイン】という考え方があります。これはそれまで長年時間を掛けて実生活から生まれ淘汰されてきたデザインをベースに現代の生活に馴染むように改めてデザインしなおすという考え方で、代表的なものに中国・明代の「圏椅(クァン・イ)」をリデザインしたハンス・J・ウェグナーのYチェアやシェーカーチェアからリデザインされたJ39などがあります。先人たちが長い時間を掛けて作り上げたデザインを元にリデザインされているからこそ人間の根源的・非言語的な部分で魅力を感じるのではないでしょうか。

ハンス・J・ウェグナーのGE290。1953年にデザインされ今もなお製造されている名作中の名作。

また北欧の日照時間が少なく屋内で過ごすことが多かったことから、家具などのインテリアが飽きの来ないシンプルなデザインになったことも普遍的なデザインが生まれた要因です。

②貴重な材が使用されている

デンマークを中心とした北欧ヴィンテージ家具は主に【チーク材】【オーク材】【ローズウッド材】が使用されています。

チーク材については現代でも手に入りますが、近年多くの家具製造販売会社でチーク材製品の製造を中止したりしています。その要因は材の価格が高すぎることやそもそも手に入りにくくなってきているためです。ローズウッド材についてはワシントン条約で取引が規制されるなどこちらも貴重な材となっています。

1950~70年代ではまだこのような材が豊富に流通していたため、現在では考えられないような贅沢な材の使い方をしており、現代で当時と同じ材の使い方をして新規に製造すると新品の方が高くなる場合もあるかと思います。それほど貴重な材を使用した家具達が手に入るという点も魅力です。

RY Mobler社製ハンス・J・ウェグナーのRY26サイドボード。貴重なローズウッド材仕様はヴィンテージでしか手に入れられません。

③ヴィンテージ家具ならではの経年変化の雰囲気

木材は時間を経ることで色味などの雰囲気が変化します。例えばオーク材は元々白っぽい色味ですが経年変化で飴色に変化していきます。この雰囲気はやはり新品には出せません。もちろん新品で購入して長年使用すれば経年変化して飴色になったりしますが、北欧ヴィンテージ家具は50~70年経ているものは中心でその雰囲気を手に入れるには相当な時間が掛かります。経年変化した材の雰囲気は柔らかく落ち着いた雰囲気なのですっとお部屋に馴染むのも魅力です。

飴色に変化したオーク材。新品にはない魅力です。

④現代では生産されていない廃盤品も手に入る

マニアックな視点ですが現在も生産され続けている一方、例えばハンス・J・ウェグナーのGE240通称シガーチェアやGE258などのデイベッドの旧タイプGE-6などすでに生産がストップしヴィンテージのものでしか手に入らないモデルも多く存在します。特に人気のモデルは見つかる頻度も低いため、出会えた際の感動や喜びもひとしお。お気に入りの家具達を見つけて手に入れるのも楽しみ一つです。

ハンス・J・ウェグナーのGE240。現在は製造されておらずヴィンテージでしか手に入れられません。

また、近年では例えばハンス・J・ウェグナーのミニベアのように復刻されるモデルもありますが、復刻のものは内部がウレタン仕様のところ、ヴィンテージのものは馬の毛やヤシの繊維など自然素材を使用していたり細かい部分の造りが異なっていたりします。また、刻印やスタンプの有無、当時の販売店のタグなどヴィンテージならではのサインも価値があり新品にはない魅力です。現行で復刻や製造されている製品をあえてヴィンテージで手に入れる”わかる人にはわかる”という楽しみもあります。

現行で復刻されたミニベア。画像のものは貴重なAP stolen社製AP20です。

北欧ヴィンテージ家具を購入する際の注意点

①メンテナンスされているか

私たちがデンマーク現地で買い付ける家具は50~70年前に製造され実際に現地で使用されてきたものです。私も現地で買い付ける際は可能な限りコンディションをチェックし使用上差支えの無い状態かを確認して買い付けますが、それでも基本的にはなんらかのメンテナンスは必要です。

このどこまで何をメンテナンスするのかはそれぞれのお店の価値観にもよりますが、当店の場合は少なくとも実用上問題の無いようなメンテナンスを心がけています。チェアであればがたつき・ぐらつきがないように、ウレタンがへたっていれば張替をするなど家具として問題のないように必要に応じてメンテナンスを行います。そのうえで見た目的な美しさや手触りをよくするメンテナンスなど状況に応じて対応しています。

もちろんこれが絶対的に正しいというメンテナンス方法はなく、個人の好みやお店の価値観、仕上げ方などいろいろありますが、実用するのであれば最低限実用上問題のないようメンテナンスがされているかしっかり確認しましょう。

②アフターケアがしっかりしているか

メンテナンスがされていても実際に使用していく中で不具合が発生する場合もあるかと思います。そんな場合に補償やアフターサービスがあれば購入時も安心です。お店によって保証制度は異なりますが、当店では2年間の保証を付けています。正直申しますとこの保証を使用してアフターサービスを受ける件数は年に1件あるかないかぐらいですが、もしもの時に安心です。

③できれば実物をよく確認しよう

ヴィンテージは50~70年に作られ実際に現地で使用された家具のため、その中でついた傷やダメージは少なからずあります。齟齬がないようにできる限り実物を確認するか、確認できない場合は画像などでよく確認しましょう。ヴィンテージ特有の匂いや表面のべたつきなどは実物を確認しないとわからない部分なので、後悔のないようしっかり確認しましょう。

④一般的に水や熱への耐性は低い

これは一概には言えませんが、オイル仕上げやラッカー仕上げの北欧ヴィンテージ家具は一般的に水や熱に弱く染みや跡ができたりします。特にダイニングテーブルなど水分が付着する可能性の高い家具をお使いで染みを気にされる場合は、なるべく染みを付けないようにマットやコースターを使用するか、定期的にオイルでメンテナンスする、もしくはウレタン塗装のものを選ぶなどよく検討しましょう。

水分が長時間付着したことによる輪ジミ。

お気に入りの北欧ヴィンテージ家具を見つけるために。

北欧ヴィンテージ家具はその普遍的なデザインや素材の魅力、希少性などたくさんの魅力がある一方、現行品や新品とは異なり使用上の注意や購入時に確認したい注意点など気を付けるポイントもあります。もちろん実用的な耐久性や塗装の性能など現行品や新品に劣る部分もありますが、それでもヴィンテージならではの魅力は我々の生活に彩りや豊かさ、心地よさを与えてくれます。北欧ヴィンテージ家具をご検討の方でなにかご不安に思われることなどございましたら当店までご遠慮なくご相談ください。より豊かで心地よい空間造りのお手伝いさせていただきます。

北欧家具tanuki 北島